長崎SDGsクラブ
2015年9月25日の国連総会において、持続可能な開発のために不可欠な、向こう15年間の新たな行動計画として、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。これは、17の目標(SDGs)と169のターゲットで構成され、ここ数年の間、日本においても人々の中に浸透しつつあります。そして、すべてのゴールを包括するキーワードが「誰ひとり取り残さない (leave no one behind)」です。目標達成をめざす2030年まで、あと10年を切りました。
私たち、長崎SDGsクラブは、 SDGs17のゴールに関わる課題に取り組む多様な個人や団体をつなぎ、市民社会が主導でありながら、行政や民間企業やNGOなどとも手を取り合い、誰ひとり取り残さない持続可能な地域をつくることをめざしています。この目的を共有する様々な異なる領域の市民が集うプラットフォームを創生し、以下の活動をいたします。
(1) 共に学び、考え、触発しあい、共同作業を行うことにより、持続可能な長崎創生に向けたブレークスルーを提案します。
(2) SDGsに関連する異分野協働プロジェクトやソーシャル・ビジネスの創生を推進し起業家を支援します。
(3) その成果を多くの人々と共有し、次世代地域人材の育成に貢献するための取組を推進します。
SDGsの意味
国際連合(国連)は、20世紀から21世紀への世紀の変わり目に際して、2015年までの15年間で世界が達成すべきミレニアム開発目標(MDGs)を、全世界が共有すべき行動計画として制定した。それを引き継ぐ形で、2030年までの次の15年間に達成すべき目標として制定されたのが持続可能な開発目標(SDGs)である。今、SDGsは、MDGsに比し、はるかに大きなインパクトをもってあらゆる国家、組織、地域社会、そして人々の中に浸透しつつある。
何故、SDGsはそれ程のインパクトを持つのだろうか?まず、その幅広さである。MDGsが保健医療分野や環境分野を中心に8つのゴールと21のターゲットで構成されるのに対し、SDGsは17のゴール、169のターゲットと破格に幅広く我々人類が直面する地球規模課題や地域課題(global & regional issues)をカバーする。SDGs17のゴールを眺めていると、仕事や社会活動など我々自らの日々の営為が、17のゴールのどれか一つあるいはいくつかと目的を共有していることに気が付かされる。そのことで、我々の日常は世界とつながるのである。そして、SDGsアジェンダは、一つ一つのゴールは自己完結することはできず、他のゴールと密接かつ有機的に関連し、17のゴールは相互依存的な統合的目標あることも説く。それを包括するキーワードが、“leave no one behind”(誰一人取り残さない)である。世界のあらゆる国家や組織や団体や個人が、SDGsを介して連携・協働することの意味を、我々に問いかけているのだ。
情報革命とグローバル化が進行する現代社会の特徴を最も端的に表す言葉に、多様性がある。モノや情報が氾濫する中、人々の選択肢の幅は拡大し価値観は多様化し続けている。職業は細分化し、世界観も人生観も嗜好も異なる多様な個性で社会が構成されている。そしてグローバル化が、地域社会においても民族、言語、文化のレベルにまで多様性の幅を拡大しつつある。実は、この多様性こそが、私たちが直面する様々な地球規模課題を克服するブレークスルーをもたらす可能性を秘めている。そのためには、多様性が尊重しあい繋がり触発しあいながら協働することが必要であるが、ややもすると多様性は分断され、孤立し、互いに無関心を装い、ときには敵対してしまう。過度な自由主義経済がもたらした格差も、その要因の一つである。
SDGsの最大の意味は、多様化し複雑化する現代社会の中で、分断されがちな個々の人間や組織が、SDGsを介して改めて目的を共有することができる点にあるのではないか。「分断から連携・協働への転換」のための触媒としての意味である。
SDGsと地域社会そして市民社会
日本の地域社会は少子高齢化や首都圏一極集中のあおりもあり、多くの社会的課題に直面している。人口減少の先進地域である長崎においては、人口定着(とくに若者)や地域経済活性化に向けて、子育て、雇用、医療・介護、街づくり、自然環境、ダイバーシティ環境等々、取り組むべき喫緊の社会的課題が山積している。そして中期的には最大の課題は地域人材の育成ではないか。マスとしての人材の数もさることながら人材の質であり突破力のある個人の育成である。地域への愛情と世界を俯瞰する視野を併せ持ち、かつ行動力と起業家精神に富む個人である。地域をあげて、そんな人生の冒険家たちを育成し、彼らの新たなチャレンジを支援する、その先に地域の創生を展望する。中央の大企業の誘致もよいが、多様性の時代の個性ある地域創生には、そんなストーリーがよく似合う。教育の役割重大である。
日本、とくに長崎では、未だプレーヤーとしての姿を現していないセクターが存在する。市民社会である。不特定多数の自由な個人の集合体としての地域の市民社会である。それぞれの日常の中で課題に直面している個々の市民こそが、現場感覚を持って本気で困難に寄り添い課題解決の主役を担うことができるはずである。SDGsの共通理念「誰ひとり取り残さない」にもっとも相応しい仕事ができるのも市民かもしれない。実際、多くの市民が様々の分野で社会的課題に取り組んでいる。これらの市民が、SDGを介して目的を共有して有機的につながり協働することができれば、市民社会が産・学・官に伍してプレーヤーとしての役割を果たすことができるのではないか。そして、産・学・官セクター間の円滑な連携・協働の仲介の役割も果たすことができるかもしれない。そのためには、既にSDGsに関わる活動に携わっている市民やその志を有する市民が、目的を共有し、つながり、協働することができる場の創出が急務であり、市民社会が外部の大きな力に依存することなく、一つのセクターとして自立して成果を出すだけの力を示す必要がある。
複雑且つ多様な地域課題の克服には様々なプレーヤーの連携・協働が不可欠である。例えば、行政、経済界、アカデミアといった「セクター」間の連携である。しかし、産学官連携は既に言い古された言葉となったが、個々の課題克服という観点からは実効が上がっているとはとてもいえない。改善されつつあるとはいえ、いずれのセクターにおいても、まだまだ旧来の縦割り、前例踏襲、上位下達の弊が強く、自由な個人のactivityや機動性が抑制されていることが主因であろう。過度の国の政策や予算への依存も問題である。まずは、それぞれのセクターが成熟し、自立し、力をつけることが肝要となるが、果たして、それを待つだけの時間的余裕が地域には残されてはいるだろうか。
メンバー紹介
代表理事
片峰 茂
みなとメディカルセンター理事長
ひとこと副代表理事
江頭 明文
長崎大学教育学研究科等非常勤講師
長崎県社会教育支援「草社の会」顧問
副代表理事
黒崎 伸子
黒﨑医院院長
国境なき医師団日本元会長
日本BPW連合会理事
副代表理事
城尾 忠明
理事
岩本 諭
斜面地・空き家活用団体つくる
ひとこと理事
近藤 孝史
KTS
株式会社ENCAN
株式会社ふれんど
理事
城尾 多満子
理事
中田 慶子
NPO法人DV防止ながさき
ひとこと理事
西田 憲司
西山台小学校学童のじいさん先生
ひとこと理事
野口 美沙子
NPO法人インフィーニティー理事長
Class(株)取締役
理事
久松 徳子
長崎大学病院
歯科医師
理事
松本 美恵子
理事
宮原 和明
NPO環境カウンセリング協会長崎 顧問
(一社)おひさまNetながさき 理事長
(一財)長崎県住宅・建築総合センター理事長
理事
山崎 直人
長崎市立山里小学校 校長
ひとこと監事
飯田 直樹
飯田直樹法律事務所 所長
監事
梅元 建治
一般社団法人ナガサキベイデザインセンター代表理事
長崎居留地まつり実行委員会事務局長
NPO法人長崎コンプラドール理事
長崎近代化遺産研究会理事
長崎県景観形成(地域振興)アドバイザー
長崎市議会議員
監事
吉田 雅文
長崎市環境政策課